* another sky *
「ありがと、玲。」
「あ、けいもママにチューするー。」
最近、何でも真似をしたがる慶が、翼に向って訴えかける。
「ったく。ママにチューできるのは俺だけなんだぞ。」
3歳の息子と、真剣に張りあう翼が可笑しくて、私は笑ってしまう。
「けいも、チューできるもんっ。」
「うわぁ、まじか。
じゃあ、しょうがない。慶は許す。」
慶は翼に抱かれたまま、
「ありがと、れい。」
と真似て、反対の頬に、ちゅう、っと唇を寄せる。
「おぉっ、慶。可愛いな。」
満足げに微笑む慶の頬に、翼はキスをした。
ねぇ、翼。
私はあなたと出会って、たくさんの幸せを手に入れたよ。
あなたと出会う運命だったのなら、全ての過去も通過点だったのかなって、今は思えるの。
「ん?」
翼は私に視線を向けた。
「なんでもないよ。」
私は翼と慶を交互に見つめた―――。
幸せ、だなって思ったの。
ねぇ、翼。
溢れる愛を、ありがとう。
私は、あなたとともに、生きていく。
あなたに出会えたことを、感謝して。