* another sky *
◇◇ another sky 神戸Xmas特別篇 ◇◇
* 翼のワスレモノ *
それは12月も半ばを過ぎた頃。
「えっ、忘れもの??」
そろそろ家を出ようかと思っていた時にかかってきた1本の電話。
「ちょっと待ってて。見に行くから」
携帯を耳にしたまま、私は翼の部屋を開ける。
「ああ、あるある。これでしょ、ブルーのパソコンケース」
「あった?? 何だ、家に置いてきたのか」
通話口の向こう、―――。
翼のホッとしたような声が耳に届く。
「ねぇ、いるんじゃないの、これ。
最近ずっとこれにかかりっきりだったでしょ?」
私はずっしりと重たいパソコンケースを持ち上げた。
「送った方がいいならそうしよっか??」
「悪い、頼める?? それないと厳しいんだ。
ホテルまで送ってもらえると助かるんだけど」