* another sky *
「…いえ、ないです……」
到底、――――。
桜木さんが相手じゃ、私たちは何も言い返せないわけで。
「頼むからそれ、全部買ってこいよ」
会社を出る際、不貞腐れた表情の諏訪さんから渡された《土産リスト》
どうせ中華街で豚饅かラーメンか、食べ物だろうなと思っていたのに。
御守……??
そこには、日本で唯一の明治天皇勅願所で古くから安産のお寺として有名な、中山寺の安産守りと書かれていた。
「絶対忘れんなよ」
なーんだ。
ここに行きたくて頑張ってたのかあ、なんて。
ニンマリ緩んでしまった頬のまま、私は黙って頷いた。
東京駅を出発したのは、20時30分。
さすがにお腹もぺこぺこで、構内で購入したお弁当とビールでお腹を満たす。
睡魔に負けそうになりながら、新神戸の駅に着いた時には既に23時を回っていた。
駅を出てタクシーに乗り込み、桜木さんが予約してくれたホテルへと向かった。
さすがに急だったからか、翼が宿泊しているホテルは予約できなかったらしい。