* another sky *


「…いえ、ないです……」


到底、――――。


桜木さんが相手じゃ、私たちは何も言い返せないわけで。



「頼むからそれ、全部買ってこいよ」



会社を出る際、不貞腐れた表情の諏訪さんから渡された《土産リスト》


どうせ中華街で豚饅かラーメンか、食べ物だろうなと思っていたのに。



御守……??



そこには、日本で唯一の明治天皇勅願所で古くから安産のお寺として有名な、中山寺の安産守りと書かれていた。



「絶対忘れんなよ」



なーんだ。

ここに行きたくて頑張ってたのかあ、なんて。


ニンマリ緩んでしまった頬のまま、私は黙って頷いた。




東京駅を出発したのは、20時30分。


さすがにお腹もぺこぺこで、構内で購入したお弁当とビールでお腹を満たす。


睡魔に負けそうになりながら、新神戸の駅に着いた時には既に23時を回っていた。


駅を出てタクシーに乗り込み、桜木さんが予約してくれたホテルへと向かった。


さすがに急だったからか、翼が宿泊しているホテルは予約できなかったらしい。


< 734 / 769 >

この作品をシェア

pagetop