* another sky *
ホテルに着いたら0時か……。
この時間、きっと練習中かな。
フィギュアスケートだけではなく、アイスホッケーやスピードスケートなどリンクを全面に貸し切って為す練習は、一般のお客さんがいない深夜から早朝にかけて行われることが多い。
どうしよ、―――。
神戸まで来ていることを、翼はまだ知らない。
ひと言連絡をしておこうと
携帯の液晶に触れてみて……止めた。
翼にLINEをしても、きっと気付くのは練習が終わった後だ。
明日、朝起きてから連絡しよっかな。
どうせ翼もお昼まで寝てるよね……。
うん、―――。
パソコンが届くとわかってるから、翼は外に出ないと思う。
……よし。
今日は何も知らせないで、明日いきなりホテルまで行っちゃおうっかな。
びっくりするかな、―――。
タクシーの後部座席で、一人にやついている自分に気付いて。
「……っ」
ルームミラー越しに運転手さんと目があったような気がして、慌てて頬を引き締め窓の外に視線を移した。
昨日まで一緒にいたのに。
早く会いたい、――――。
翼の声が、聞きたい。