* another sky *
「わかってる。
自分でも、わかってるから…。
じゃあ、私、帰るね。」
振り切るように、そう言って帰って行く後ろ姿が、ちょっと不安そうで、切なかった。
「あれは、ヨリ、戻す気かもね。」
綾子の言葉に、私も梨花も静かに頷いた。
そうなればいい?
そうなったら、麻友理は泣かなくて済む?
正直、私たちは、見守っていくしか術がない。
まだ22時か…。
どうしよう。
航太に会いたくなっちゃった。
航太の家に行こうかな。
しばらく迷って、航太に電話をかけると留守電だった。
留守電かぁ。
会いたかったな。
何で、だろう…。
いつもなら、5日間くらい、どうってことないのに。
何故か今夜は、航太とずっと一緒にいたいよ。
―――――。
もう一度電話をしてみようかと思ってやめた。
きっと明日も仕事で忙しいだろうし。
我儘、言っちゃいけないよね…。
俯きながら歩く私の足元を、眩しい光が照らし出す。
ショウウインドウの明るさに誘われて、目を向けると、華やかなドレスが輝いていた。
あ、ウエディングドレスだ。
いつか、こんな綺麗なドレスを着ることが、できるのかなぁ。
その横には、航太がいて…。
もし、そうなったら、嬉しいんだけどな。
よし。
その為にも、頑張んなきゃ。
今日はおとなしくお家に帰ろう。
「航太。大好き。」
そう、一言だけメールして。