* another sky *
「玲ちゃんてさ、航太のストライク、ど真ん中、だったんだよね。」
「そりゃもう。
可愛い子が入って来たってうるさくてさ。」
「おまっ、ちょっ…!!」
「玲ちゃんのこと、ありゃ完璧に狙い撃ち。」
佐藤君が、麻友理に耳打ちする。
「狙い撃ちって何??」
綾子が、隣の紺ちゃんの腕を揺すった。
「航太さ…。」
佐藤君と紺ちゃんは、お互いを見合って爆笑する。
「新しく入って来たバイトの子が可愛いって、煩くてさ。」
「地方から出て来たばっかりで、初々しくてたまんなーいって。
あ、これ、玲ちゃんのことね。」
―――――!!
「そうそう。
俺たち、毎日、毎日、聞かされてたわけよ。」
「そしたら、そこの社員のやつ?
先に玲ちゃんにちょっかい出し始めたらしくてさ。」
「おまえら…。」
憤ったように呟く航太の声は、あっという間に、かき消されて。
「しかも、玲ちゃんと全然、部署が違ったんだろ?」
「そうなの、玲?」
「フロアも違うから…。」
「接点ないのに、頑張ったんだよな?」
「そっ。狙い撃ち。」
「えー! 玲、知ってたの?」
麻友理が私を見て笑う。
…イイエ。
ハジメテキキマス…。