* another sky *
「も、お願い。
勘弁してくれよ…。
玲にも話したことないのにさ。」
航太は困った顔をして、溜め息を吐く。
「話したことないのっ?」
「それは話といた方がいいでしょ。」
佐藤君と紺ちゃんは、航太の意見を無視して、麻友理と綾子に話を進める。
「最悪…。」
ぼそりと呟いて、航太は私の肩に顔を埋めた。
「ごめん、玲。
あいつら面白可笑しく話してやがる。」
ふにゃーっと、一気に身体の力が抜け、航太の体重が私に寄りかかる。
「私は大丈夫、だよ。」
でも、―――。
そう言われてみれば。
確かに航太と私は、接点がなかったかも。
正直、航太のことを知ったのは、バイトに入ってから大分、経ってからだよね。
それに、話すようになるまで、時間はかかってるし…。
だからって、狙い撃ちって…。
狙われていたような、ドキドキとした出来事も…なかったような…。
――――――!!
「社員て、八城さんのこと?」
私は航太を見上げて、言う。
航太はフッと笑いながら、
「そう。」
と言った。
「俺、あの時からもう、玲が好きだったの。」
「…嘘…。」
「嘘じゃないよ。
ずっと見てたから、あの時、助けてあげられたんだ。」