* another sky *
「好きになった女の子は大切にしたいし、守ってあげたいって思うのは、男として当然でしょ?」
え、――。
何、この都会的な言い回しは。
『大切にしたいし、守ってあげたい。』
やーん。素敵。
ドラマ、みたい。
そんなこと、彼氏に言われたら、嬉しいだろうなぁ。
「わぁ。羨ましいなっ。」
何だか、私まで幸せな気分になってくる。
「ちょっと、ときめいちゃいました。
渡瀬さんの彼女になる人は、幸せですね。」
私は呑気に聞き流していた。
だって、まさか自分に向けられてるなんて、思いもしなかったから。
「ねぇ。」
「はい?」
「俺、吉野のこと、話してるんだけど…。
伝わって…ないよね?」
―――――?
「…え、―――?」
伝わってますよ?
私だって、ドラマでとか、見たことあるし。
言ってることの意味くらい、わかりますよ?
私は驚いて、渡瀬さんを見上げた。
身長差、約30cmの頭の上。
最上級の甘い表情に、私は一瞬、怯んでしまう。
「ほんとはね。
こんなあやふやじゃなくて。
もっときちんと言いたかったんだけど…。
っていうか、俺、さっきから吉野に向けて話してたんだけど、気づいてた??」
「え、―――?
聞いて…ますよ?」
「そうじゃなくて、大切にしたいのも、守りたいのも、吉野。
君に向けて、話してるんだよ?」
――――――!!