* another sky *

「…ふぇ…。」


私に向けて…!?


私は慌てて首を振る。


「わ、私、…?」


ちょ、ちょっと待って…。


渡瀬さん、何て言ってたっけ?

大切に、するよ…?って、言ったよね?


え、―――。


それって、……。


「やっぱりなぁ。

あんまり響いてないなって思ったもん。」


―――――。


「あの…。」


一気に、心臓がバクバクと脈打ち始める。


「…私、って…?」


急にオロオロし始めた私に、渡瀬さんは優しく笑いかけた。


「はっきり言わない俺が悪いよね。」


「いや、あの…。」


立ち止まり、私に向き合う形を取ると、そっと私の両手を握りしめて。


「ずっと吉野のことが、好きだった。

うん…。

もう、ずっと前から。

僕と付き合ってください。」


―――――!!


驚いて声も出せない私に、

「嫌かな?」

と首を傾げる。


「嫌、とかじゃなくて…。」


慌てて首を横に振る私に、

「それはいいってこと?」

ぐぐっと確かめるように、見入る瞳。


………。


嫌じゃないってことは、いいってこと?

私、渡瀬さんのこと、何も知らないよ。


だけど、―――。


いつも気にかけてもらっていたのは…わかる。


でも、それが私だけに向けてられていたのかどうかは…。


わからなかったよ、―――。
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