* another sky *
最愛


新学期が始まった。


課題も多く、何かと忙しい毎日。

卒業制作を兼ねたコンペの締め切りも迫ってきているし。


だけど、就職が内定している分、私はラッキーなのかもしれない。


毎日、電話かメールで近況報告はしているものの、航太には会えない日々が続いていた。


会いたいなぁ…。

でもなぁ…。

航太も忙しいみたいだし。


はぁ―――。


寂しいよーぅ…。

うーん、…ここで押し掛けて行っちゃう…?

いや、いや、いや…。

そんなこと出来ないくせに、もう…。


うだうだうだうだ…。


自分で自分が情けない…。



秋といっても、まだまだ暑い日が続いている。


今日はまた、空が青くて高いんだな…。

ブルーに、真っ白な飛行機雲のコントラストが、すごく綺麗。


私は思わず、携帯で写真を撮る。


『綺麗な空だよ。』


私は航太にメールした。

忙しい航太の、癒しになるかな、なんて。


「……っ。」


忙しいのに、空を見てる余裕なんて、ないか…。


会いたいよ――。

本当に伝えたかったことは、違うのに。


「あ、――。」


握りしめていた携帯が、震える。


『俺も今、そう思ってたとこ。』


―――――――!!


じんわりと温かいものに、包まれて。


航太、ありがと。

ちょっと、救われたよ。


航太も頑張ってるんだもん。


私も、頑張んなきゃ。
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