* another sky *
「ね、もうすぐ玲の誕生日だね!」
「うんっ。」
「何が欲しい??」
「麻友理が選んでくれるものなら何でもいい。」
授業が終わってから、食堂で麻友理と遅めのランチをとっていた。
「玲、トマト食べて。」
「はいはい。」
麻友理はトマトが苦手だ。
トマトソースのパスタは好きなくせに、そのへん基準がわからない。
「渡瀬さんからは、何をプレゼントしてもらうの?」
「んー。わかんない。」
麻友理が持ってきていたファッション雑誌をめくりながら、私は呟いた。
航太が選んでくれるものなら、何だっていいんだよね。
自分の性格上、『これがいい』なんて言えるわけないし。
「あれが欲しいとか言わないの?」
「うん。だいたい航太は私の好みにドンピシャって感じだし…。
っていうか、航太が選んでくれるなら何でもいいって感じ?」
「あら。いいわねぇ。今、私に惚気た感じ??」
麻友理はしゅっと顎を上げて、口を尖らせる。
「あはは。違うよ。
欲しいものとか、今まで言ったことないもん。」
「一度も、ないの?
でもあるでしょう?欲しいもの。」
うーん。そうだなぁ…。
欲しいもの、って言われても、今は特にないんだよね。
「うーん。
時計は買おうと思ってるけど…。」
「時計??」
麻友理は身を乗りだして聞いてくる。