* another sky *
「買って、って言っちゃえば??」
「言えないよぉ。」
「言うだけ行ってみればいいじゃん。
渡瀬さん社会人なんだし、これくらい平気でしょ?」
「ん、――。
お金貯めて自分で買いたいんだよね。
自分で頑張った記念にもなるし。」
「そっか…。
じゃあ、私はブレスにしようかな。
時計とも合うようなやつ。」
―――――!!
「嘘!! すごい嬉しい。」
「玲に似合う華奢な感じのねっ。」
麻友理は得意げに大きく頷いた。
「麻友理は私の好み、よくわかってるからなーっ。」
「うん。でも候補だよ、候補。
いろいろと、見てみてからね。」
「うんっ!! 麻友理、大好きっ。」
何でかな、―――――。
麻友理のことを思い出すと、最初にこのシーンを思い出すんだ。
「楽しみにしててね。」
満面の笑みで、私を見つめる麻友理が、忘れられない。
私の自慢の親友……。
何度も、夢で見たんだ。
『全部、嘘よ。
騙されてたのに気付かないなんて、馬鹿ね。』
呆れたように溜め息を吐いて、見下したように笑う麻友理の表情が、いつも私を追い込んだ。
どんな小さなことでも、縋りつきたかったんだ。
たまたま、航太が選んだのが麻友理で。
麻友理が好きになったのが、航太だったんだって……。