Enchante ~あなたに逢えてよかった~
それからの澤田と絢子の生活はまさに蜜月で
二人で居る間、片時も絢子を放したがらない澤田は
彼女が立てばその背中から抱きしめ、座れば肩を抱き
歩く時は家の中でも外でも必ず手を繋いだ。
そして週末は絢子を一日中腕の中に閉じ込めた。
視線が合えば唇が重なった。
すぐにそれは深くなり熱を帯び欲情を煽る。
リビングでもバスルームでも廊下でも所構わず愛し合った。
服を着てもすぐに剥がされてしまう絢子は
もう下着をつけるのも面倒になって
肌触りの良いルームウエアを素肌に一枚着ただけで一日を過した。
この週末もそんな隙だらけの格好で絢子がブランチの支度をしていると
いつものように背中にぴったりと張り付くように澤田が身体を寄せてきた。
ウエストから回した両手が布の手触りごと楽しむように
絢子の身体のラインを甘く撫で回した後で、両掌でバストを包み込むと
指先で頂を弄りだした。
「あ・・・」
敏感な先を優しいタッチで刺激され
絢子は思わず喉を反らして声を上げた。
緩く結い上げた髪のせいで曝け出された絢子のうなじと首筋に
澤田は何度も何度も艶めいた吐息とキスを落としていった。
「ん・・・やめて」
「どうして?」
「ご飯作れない」
「いいよ?気にしないで作って」
「そんな・・・無理っ・・・こんな・・・あっ!」
スカートの裾を捲くり上げて滑り込んだ澤田の指先が
絢子の敏感な箇所を押し広げて弄りだした。
「もうこんなに濡れてる・・・」
絢子の耳元に澤田は吐息だけで囁やくと指の動きを早めて
「聞こえる?」と一際大きく卑猥な音を立てた。
「そんなの・・・もういいから。やめて。恥ずかしい」
「嫌だ。やめない」
浅いところを優しく丁寧に撫でられ
絢子は体の奥を掻きむしりたくなるほどの焦燥感に苛まれながら
頭を左右に振ってそれを散らそうとした。
その絢子の頭を抱え込んだ澤田は
彼女の耳元で舌先を遊ばせながら囁いた。
「どうして 欲しい?」
「や・・・ん」
「言うんだ、絢子・・・言って」
「いや・・・あ」
「いや?嫌ならやめようか?」
「ちが・・・ぅ」
「じゃ どうすればいい?」
欲情した絢子の身体の叫びを押さえ込んでいた羞恥とプライドは
全てを蕩けさせ虜にするような澤田の声にあっさりと屈して
乞われるままに欲望を言葉に変えた。
「舐めて・・・」
「わかった」
澤田は絢子の腰を自分の方へ引いて突き出させ
スカートを撒くり上げヒップを剥き出しにさせた。
指先で押し開いて濡れそぼるそこに舌を這わせ
存分に弄んだ。
けれど いけない。いかせてもらえない。
絶頂までに少し足りない愛撫は絢子には甘い責苦のようだった。
こんなのは嫌。もう我慢できない・・・
箍が外れた絢子は腰を大きく揺らして懇願した。
「お願い!来て・・・はやくぅ」
澤田は絢子の腰を両手で掴み、そのまま後ろからゆっくりと
自身の昂ぶりを中へと押し入れた。
柔らかな弾力を押し開いていく感覚に澤田は恍惚となった。
ふぅと小さく息をついて一旦動きを止め、このまま一気に
突き上げてしまいたい衝動を辛うじて抑えた。
そんなことをしたらすぐにでも達してしまう。
それでは つまらない。時間はたっぷりある。
慌てることはないのだから。
動きを止めた澤田を急かすかのように絢子の腰が小さく揺れた。
澤田は口の端だけで笑うと、ごめん、待たせて と絢子の背中に呟いて
もどかしさを煽るかのように円を描いて緩やかに動きはじめた。
喘ぎながらじわじわと高められて乱れていく絢子と
その様子を見て高まった澤田が頂点に達しそうになったとき
インターフォンが来訪を告げた。