89×127


「…ちょっと何言ってるかわかんないんだけど。距離を置くってなんだよ。いつの間にそんな話になってんのこれ。別れ話みたいじゃ…」


「だって、あたし、もう…」


あなたのナルシスト具合を見ているのが辛いの。

と悲劇のヒロイン風に続けようと思ったそのとき、カタッ と廊下から何か物音が聞こえた。


後ろのドアが小さく開いていて、そこに誰かが佇んでいるのか、影が見える。


誰だろう?
だれかクラスに忘れものかな?

あ、もしかして、あたしたちが変な会話してるせいで入ってこれないとか?



「誰ですかー?…入っても大丈夫ですよー?」


話しかけるも一向に動き出さない影。

どうかしたんだろうか。



「真鍋見て来いよ。」


「ともやんが行けばいいじゃん」


「ここのクラスの奴だったらオレあんま知らないし。」


「今を時めくサッカー部のキャプテン様なんだからみんな知ってるでしょう?」


「…わーったよ、行けばいいんだろ行けば。」



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