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「部長、真鍋先輩が嫌がってるじゃないですか!男が女性に縋るなんて、女々しいですよ!」
あたしが生中川くんだとか恋の病だとかアホみたいな思考を繰り広げている合間に、中川くんはともやんに突進する勢いで近づき、よくわからないセリフを言ってのけた。
わかったのは、ともやんが女々しいってところくらいだ。
ナルシストで女々しいだなんて、あたしの好みから考えると致命的だなともやん。
「恭介?え、おま、なにを言ってるんだ?」
どうやら、ともやんもちゃんと理解できなかったようで、聞き返しているところだ。
「だ、だから、真鍋先輩が嫌がってるんですから、男らしく別れたら、どうですかと……」
「別れる?」
「あたしとともやんが?」
「オレらって、付き合ってたっけ?」
「おいおい寝言は寝て言えよナルシスト。」
「オレ今スゲー傷ついたんですけど真鍋さん。」
「気のせいだよ。きっと自意識過剰なんだ、さすがナルシストなだけあるな。」
「違うと思う。オレ絶対なにか間違ってると思う。」
「………付き合ってないんですか?」