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言い合いをするあたしたちを、ぽかんとした顔で眺める中川くんと目があう。
どこで何を聞いたのか、勘違いだったようだね。
いやしかし、好きな人に他の人と付き合ってると勘違いされるとは、なかなか複雑な心境ですな。
あたしが好きなのはあなたですよと言えたらまあ、簡単な話なんだが、生憎あたしそんな勇気はない。
「え、俺、勘違い…す、すみませんでした!!」
目が合ったとたん、あわあわと狼狽えだし、ものすごく丁寧に腰を折った中川くん。
なんか、ものすごく可愛いなあ…
「いや、別にいいけど…お前、そんな話、どこで聞いたの?」
あたふたと慌てる中川くんを見るのは初めてだけど、中川くんが慌ててくれると、案外あたしの心臓は落ち着いていてくれるらしい。
「や、誰に聞いたとかはないんですけど、いろいろ見たり、聞いたりしたら、完全に思い込んじゃって、本当にすみません…」