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しゅーんと落ち込む中川くんは、まるで親に叱られた子どものようで、こう、愛おしさがね、溢れるよ。
母性をくすぐられるとはこのことか。
「そんな勘違いされるようなことしたっけか?」
「し、てましたよ!一緒に廊下でしゃがみこんで話したりとか、俺には話しかけてくれないのに部長とは仲良く絡んだりとか、あと、昨日の会話で、距離を置くとか、さっきもお前がいないと、みたいな……」
話を聞く限り、確かに最近ともやんとの絡みは多かったようだ。
ただ、昨日と今日の件は完全にお遊びの、言葉のやり取りだ。
本人たちは完全にお遊びだったんだが、第三者からみるとそうでもなかったのだろうか。
「なーるほど。それでお前にはオレが真鍋に女々しく縋る男に見えたわけね。」
「や、そういうわけじゃ…」
「オレ完全に聞いたからな。女々しいって言われたからな。」
「…すみません。」
さらにしゅーんとなる中川くんに完全に母性をくすぐられたあたしは、早々にともやんを敵とみなし、攻撃態勢に入るのです。