89×127


しゅーんと落ち込む中川くんは、まるで親に叱られた子どものようで、こう、愛おしさがね、溢れるよ。


母性をくすぐられるとはこのことか。



「そんな勘違いされるようなことしたっけか?」


「し、てましたよ!一緒に廊下でしゃがみこんで話したりとか、俺には話しかけてくれないのに部長とは仲良く絡んだりとか、あと、昨日の会話で、距離を置くとか、さっきもお前がいないと、みたいな……」



話を聞く限り、確かに最近ともやんとの絡みは多かったようだ。


ただ、昨日と今日の件は完全にお遊びの、言葉のやり取りだ。


本人たちは完全にお遊びだったんだが、第三者からみるとそうでもなかったのだろうか。



「なーるほど。それでお前にはオレが真鍋に女々しく縋る男に見えたわけね。」


「や、そういうわけじゃ…」


「オレ完全に聞いたからな。女々しいって言われたからな。」


「…すみません。」



さらにしゅーんとなる中川くんに完全に母性をくすぐられたあたしは、早々にともやんを敵とみなし、攻撃態勢に入るのです。



< 107 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop