89×127


そうして中川くんが加わったテスト勉強会は、下校時間まで続けられた。



ともやんの数学は悲惨だったが、中川くんの方はそこまで問題なさそうだ。


基礎はしっかりわかってるみたいだし、忘れてても簡単にヒントを出せば思い出す。

あとは応用になった時落ち着いて問題に向き合えるかが重要だね。




あたしとしては放課後がともやんとのマンツーマン勉強で終わるよりもずっと有意義な時間を過ごせたと思う。



だってほら、隣に中川くんいたしね。



話しかけられれば心臓がドキドキしたし、

教えるためにノートを覗き込もうと顔を近づけた時に触れた微かな中川くんの空気にドキドキしたし、

骨ばった手がすらすらと数字を書き込んでいくのを見てドキドキしたし、

ふと手と手が触れた時にはもう心臓が跳ねすぎて死ぬかと思った。




なんなのこのトキメキいっぱいの勉強会は!


昨日の勉強会とは大違いだよともやん!


やっぱり放課後のドキドキわくわく勉強会はこうでなくっちゃ!



「…なんかよくわかんねーけど、お前らそんな甘ったるい空気垂れ流してんじゃねぇぞ!特に真鍋!そわそわしすぎだ馬鹿!昨日のスパルタはどこに行ったんだ!」




< 118 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop