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その日の放課後は、最初から中川くんを交えての勉強会となりまして、あたしの心臓は昨日と同様にバックバクです。
ともやんが英語の教科書を持っていることは眼中から消し去り、中川くんにだけ集中してしまうあたしの目は、本当に自分に正直さんだ。
「先輩?俺の顔になんかついてます?」
「あ、いやー、肌綺麗だなーと思いましてね。」
「先輩の方が綺麗じゃないですか。」
またこの子はこういうことを平気な顔でサラッと言っちゃうんだからよろしくない。
何がよろしくないかと言うと、あたしの心臓によろしくない。
「おーい。お前ら二人だけの世界作ってんじゃねーよー。真鍋はオレに英語を教えるという仕事があるんだぞー。」
「よし。中川くん、帰ろうか。」
「すみませんでした。どうか馬鹿なオレのためにお時間をいただけないでしょうか。」