89×127
「あれ?真鍋?」
教室に近い階段のところで座り込んでいると、我らが担任松下たつのりの声が頭上から聞こえてきた。
「こんなところで何してんだ?」
「何もしてないですよ。疲れたので座ってるだけです。」
「教室で座れよ。なんでわざわざ階段?」
「それは教室に敵がいるからですよ。そのくらい察してください。」
「いや、普通に考えて無理だろ。敵って何だ。」
「敵は敵です。」
「まぁ何もないならなんでもいいけど。あ、そういえばお前さ、最近中川とどうなのよ。」
……な、なな何言ってんだこいつ!
中川くん?中川くんがなんなの?
最近どうってどういうこと?
どうもなってないぞ馬鹿!
「おうおう、なにそんな慌ててんだよ。何、なんか進展あったわけ?」
「し、進展なんてない!」
「なんだ、真鍋のことだから猛烈にアピールしてんのかと思ったら、そうでもないんだな。」