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すれ違い
その後中川くんがいなくなってしまった教室に戻り、教科書とノート、テキストを装備してともやんにテスト範囲の英語を叩き込んだ。
単語は暗記、例文も暗記、長文は和訳でお話を理解させて、重要単語、重要表現その他テストで狙われそうなところを徹底的に繰り返す。
定期考査なんて出る範囲がわかってるんだから、ちょっと怪しいところ張っておけば何とかなるもんだよ。
最悪赤点は防げるだろう。
「お前らまだやってたのか。そろそろ下校時間だぞ?」
「まぁ一通り叩き込んだんで、もう終わります」
「そうか、なら津川も安心だな」
「あたしがついてたんだから心配無用!あとはともやんが頑張れればバッチリっす」
教室に顔を出した松下たつのりはテストの丸付けでもしてたんだろう。
なんだか疲れた顔をしていた。
結婚式の準備とかいろいろ忙しいだろうに、教師ってやつは大変だねえ。
「はいはい、ほら、さっさと片付けしろ、戸締りは仕方ないからオレがやってやろう」
「じゃああたしが電気を消してあげよう」
パチッと教室中の蛍光灯をオフにすると、「ぎゃあ!」という二つの可愛くない叫び声が響いた。