89×127
崩落
ーーー
「いいものは買えた?」
「バッチリよん!」
その日の夜、渚から電話がかかってきた。
ともやんに聞いといたサッカー部の人数にうちのクラスの人数を足して、一人当たりの金額をだしてという事務的なことは渚と一緒に進める。
間違いがあってはいけないからね。
「何にしたの?」
「フォトフレームにした」
「いいね。じゃあ、ひかりが撮った写真事前に入れといてあげたら?」
「結婚式の写真とか入れたいね!いいねそれ!」
「どのタイミングで渡すの?」
「結婚式終わってからということになりましたね」
「まぁ、それが妥当だよね。買うのちょっと早すぎたんじゃない?」
「でも、お金集めたりとか考えたら、早い方がいいかなって、ともやんと言ってた」
「そっか。あ、そういえば今日、中川少年見かけたよ」
「えぇ?!」
あたし最近見かけることすらなくて悲しいのに、渚さんばっかりズルい!
「ちょ、うるさい。」
「ごめん。ど、どこで見たの?!」
「映画館。」
「映画館?!あ、今日渚デートだったんだもんね。」
「そうそう。中川くん、誰といたと思う?」
その言葉にドキリとする。
それはつまり誰かと一緒にいたってことで、渚がこんなこと聞いてくるってことは、もしかしてもしかするとそれは…
「女の子と一緒に見に来てたよー」
そういうことになっちゃうんですね。