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それを聞いて、なんとなく納得した。
中川くんだって普通の男子高校生。
そしてあの素敵な笑顔にスポーツマン、そしてそしてあの爽やかさに加えて丁寧な態度。
…彼女くらいいますよねぇ。
いままで、好き好きってあたしが一方的にドキドキしていたって言うだけで、中川くんに彼女がいるかなんて聞いてないし、いないとも言われていない。
彼女がいないと思っていた。
あたしが勝手に勘違いしていただけだ。
あぁ、あたしってなんてバカみたいなんだろう。
勝手に勘違いして、勝手にドキドキして、一人で空回ってたんだなぁ。
「放心状態突入?」
「いや、大丈夫。」
「あら、もっと動揺するかと思ってたのにな」
「動揺させたかったのね。渚のいじわる」
「いじわるじゃないから。あんたのために報告してやってんでしょうが」
「…うん。そうだよね。報告してくれてありがとう」
渚は、あたしを本当に傷つけることは絶対にしてこないし、あたしが傷つくような隠し事はしない。
これだって、渚なりの筋の通し方なのだ。隠し事はしない。
「明日、課外の後、甘いものなんて食べに行きませんか?」
「ひかりが行きたいなら、お付き合いしますよ?」
「お願いします」