89×127

「そう考えると、あんたって本当に不毛な恋ばっかりだね」


「それは言うな。自覚してるから」


「まぁ、おいしいものでも食べて落着きなさいな」


「落ち着いてはいるんだけどなぁ」


「確かに。で、どうするのこれから」


「この気持ちは封印しますよ。持ってても進めないし」


「それでいいの?」


「そうするしかないじゃないっすか」



向こうには相手がいて、そんな人をずっと思っていても悲しいだけだ。

お兄さんの時はあの気持ちを忘れたくないって思ったけど、今回は早くこの気持ちを忘れてしまいたい。



同じような結末だけど、気持ちは真逆だ。



「ひかりが忘れたいって言うなら、忘れればいいよ。次の人が見つかれば嫌でも忘れられるよ」


「…次の人か。できるといいなあ」


「そう思えるようになっただけ、前よりは前進してるのかもね」


「あたしは常に前進あるのみよ」


「それだけ元気ならあたしがデザートをおごる必要もなさそうだね」


「それはぜひいただきたい」


「現金なやっちゃな」



今、渚がいてよかった。
1人で考えてたって悪いようにしか考えらんないもんね。

空元気でも、元気な振りができてるってことはまだ大丈夫だ。


中川くんのことは簡単には忘れられないけど、次の人を見つけるまでは仕方ないと割り切ろう。

たぶん、学校とかで会っちゃうと激しく動揺すると思うけど、考え方によっては今までだって激しく動揺してたからたいして変わらない。


それに、今は夏休み。


課外はあるけど、滅多なことがなければ学校でばったりなんてことにもならないだろう。

この夏休みで新しい恋でも見つけられるといいな。




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