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「は?別にお礼言われることなんかしてませんけど」


「あたしのこと、心配してくれたんでしょ?」


「…心配とかそういうんじゃないから。ただ、なんか昨日変だったから…」


「心配になったんでしょ?全く、ともやんはいい奴だなー」



本当に、嫌になるくらいいい奴だ。

こんなあたしのこと、心配してくれるなんて。



「お前、オレがいい奴だって知らなかったの?」


「知らなかったなぁー。あたしの中でともやんはナルシストで女々しい男だったからなー」


「は、お前、まだそんなこと言って…ナルシストじゃないって言っただろうが!」


「じゃあ女々しいのは認めるのかぁ」


「女々しくもねぇよ!適当なこと言うなアホ!」



食べ終わったらしいアイスの棒を振り回しながら騒ぐともやんはうるさい。

非常にうるさいが、それが楽しいからいいんだ。


これがともやんなりの励まし方なんだろう。


事情を話さないあたしにこんなに優しくしてくれて、心配してくれて、楽しませてくれて、

…ともやんみたいな人を好きになれば、毎日退屈しないんだろうな。





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