89×127

「松下たつのり!主役が出てくるのにはまだ早いんじゃないの?」


「招待客のお出迎えだよ。お前らな、披露宴中は大人しくしてろよ?オレが恥かくだろ」


「任せたまえ!」


「ダメだ、不安しかない。亀井、お前しっかり真鍋のことみとけよ。」


「はーい。奥さんの紹介とかないんですか?」


「あー、これ、オレの嫁さんの美雪」



なんで長い列ができてるのかと適当に並んでいたら、その先に主役のお二方がいましたとさ。



「はじめまして、美雪です。今日は来てくれてありがとう」



にっこり笑った綺麗な人。

渚があいさつをする横で、あたしは固まってしまった。

あたしは昔、この人に会ったことがある。



「ひかり?どうしたの?」


「あ、いや。あの…」


「ひかり……ひかり、ちゃん?!」


「えっと、あの時の、お姉さん、ですよね…?病院で…」


「そう!優介の…また会えるなんて!」



松下たつのりのお嫁さんの美雪さんは…あの日、お兄さんが亡くなった日に出会った、お姉さんだった。



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