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「松下たつのり!主役が出てくるのにはまだ早いんじゃないの?」
「招待客のお出迎えだよ。お前らな、披露宴中は大人しくしてろよ?オレが恥かくだろ」
「任せたまえ!」
「ダメだ、不安しかない。亀井、お前しっかり真鍋のことみとけよ。」
「はーい。奥さんの紹介とかないんですか?」
「あー、これ、オレの嫁さんの美雪」
なんで長い列ができてるのかと適当に並んでいたら、その先に主役のお二方がいましたとさ。
「はじめまして、美雪です。今日は来てくれてありがとう」
にっこり笑った綺麗な人。
渚があいさつをする横で、あたしは固まってしまった。
あたしは昔、この人に会ったことがある。
「ひかり?どうしたの?」
「あ、いや。あの…」
「ひかり……ひかり、ちゃん?!」
「えっと、あの時の、お姉さん、ですよね…?病院で…」
「そう!優介の…また会えるなんて!」
松下たつのりのお嫁さんの美雪さんは…あの日、お兄さんが亡くなった日に出会った、お姉さんだった。