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あたしの両手をとって、涙目になりながらぎゅうっと握る美雪さんに、松下たつのりも渚も目を丸くして驚いている。
それもそうか。
こんなところで繋がりがあるなんて思いもしなかっただろう。
「ひかりちゃんが、たつの生徒さんなの?」
「こいつ、いっつも言ってる奴」
「カメラ好きってひかりちゃんのことだったんだね…カメラかー」
「あ、あの、お姉さん、後ろがつっかえてますので、また後ほどお話ししましょう!」
「あ、そうだね!また後でね!今日は来てくれて本当にありがとう!」
美雪さんか…すごく綺麗でかわいい人だ。
「ひかり、あの人って…」
「お兄さんとの写真をあたしに渡してくれた人だよ」
あの時のことは鮮明に覚えている。
お兄さんが亡くなって、すごく悲しんでいたお姉さん。
写真を渡してくれて、二人で一緒にお兄さんを想って泣いた。
「まさか、松下たつのりの奥さんになっていようとは…」
不思議な偶然もあるもんだ。
「ひかり、とりあえず中はいろっか」
「うん。あとで落ち着いたら話すね」