89×127

あたしの両手をとって、涙目になりながらぎゅうっと握る美雪さんに、松下たつのりも渚も目を丸くして驚いている。


それもそうか。
こんなところで繋がりがあるなんて思いもしなかっただろう。


「ひかりちゃんが、たつの生徒さんなの?」


「こいつ、いっつも言ってる奴」


「カメラ好きってひかりちゃんのことだったんだね…カメラかー」


「あ、あの、お姉さん、後ろがつっかえてますので、また後ほどお話ししましょう!」


「あ、そうだね!また後でね!今日は来てくれて本当にありがとう!」



美雪さんか…すごく綺麗でかわいい人だ。


「ひかり、あの人って…」


「お兄さんとの写真をあたしに渡してくれた人だよ」



あの時のことは鮮明に覚えている。

お兄さんが亡くなって、すごく悲しんでいたお姉さん。


写真を渡してくれて、二人で一緒にお兄さんを想って泣いた。



「まさか、松下たつのりの奥さんになっていようとは…」


不思議な偶然もあるもんだ。


「ひかり、とりあえず中はいろっか」

「うん。あとで落ち着いたら話すね」



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