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「で、何?メロメロになるって?」
「…とにかく、これ渡してくれたらいいですから。絶対絶対ぜっっったいに中身見ないでくださいね!」
「なにそのベタすぎるフリ。それって絶対押すなよ絶対押すなよっていうやつ?」
「違うから!これは本当にダメなやつ!見たらもう許さないどころの話じゃないですからね」
この手紙の内容は主に二点。
あたしの連絡先と、結婚おめでとうっていう話。
あと、追伸としてお兄さんの話。
松下たつのりに見られてはいけないのは追伸の部分だ。
二人の中でお兄さんがどのように認識され、どういう立場だったのかというのが全く分からない今、あたしの不用意な発言で二人を傷つけることはしたくない。
「美雪に渡せばいいの?」
「お願いします」
「ちゃんと聞いてなかったど、お前らってなんで知り合いなわけ?」
「美雪さんに聞かなかったんですか?」
「聞いてないって言うか、なんとなく聞けなかったからさ。あいつちょっと泣いてたし」
「それは…美雪さんとはちょっとした昔の知り合いとしか言いようがないですね。詳しくはまた今度話すので、今はこれで勘弁してください」
美雪さんが話してないって言うことは、あたしが勝手に話すわけにはいかないだろう。
「そんなことより松下たつのり。文化祭当日のスケジュールと机の配置とか決まったから確認してよ」