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「…美雪さん?なにか…」
「あ、ごめんね。あのひかりちゃんがこんなに大人になってるって、なんか不思議な感じがしてね。あたしの中では、あのちっちゃいひかりちゃんのままだからさ」
美雪さんと会ったのは、あたしが入院してた頃だから、小3のときか。
そのときからもう9年くらいか…
「そりゃあ、おっきくもなりますよ。あのままだったら逆に怖いじゃないですかー」
「そうだよね…今何年生だっけ?」
「高3です」
「高3!受験生か!そういうの聞くと、すごい自分が年取ったように感じるなー」
「美雪さんは、松下…先生と同い年なんですよね?じゃあ今…」
「もうすぐ30だよー。あー自分がどんどんおばさんになっていくー」
「三十路だよー!」と騒ぐ美雪さん。
こんなかわいい三十路なんて、詐欺じゃないか。
全然20代に見えますよ。いくらでもサバ読めますよ。
「ひかりちゃんは、大学に行くの?タツが、ひかりちゃんはすごく優秀だって言ってたよ?」
「松下たつのりがそんなことを?!」
「あ、先生のこと呼び捨てにしたー」
「あう!つい癖で!」
奥さんの前でなんたる失態!
「知ってたけどね?あいつはオレのことを絶対に先生と呼ばないアホなんだ!って言ってたし」
「さっきは優秀って言ったのに!」
あたしの反応をみてケラケラ笑う美雪さんに脱力してしまう。
なんていうか、無邪気な人だなぁ