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「なんか、イメージと違いますね。美雪さん」
「そう?どんなイメージだったの?」
「あー、イメージっていうか、あたしの記憶の中の美雪さんって、すごく大人なきれいなお姉さんなんですよ」
あたしなんかよりもっと長い時間をお兄さんと過ごして、あたしなんかよりもっともっと悲しかったはずなのに、あたしと一緒に泣いてくれた。
あたしにあの写真を託してくれた。
この人は、すごく強い人なんだって幼心に思ったんだ。
「あらーすごい好評価。実際のあたしはどうでした?」
「えっと、すごく無邪気でかわいいです」
「え、どうしよう今すごくにやけそうな自分がいるわ」
「…もうすでににやけてますよ」
手遅れです。
「ひかりちゃんは変わらないね」
「え、それってどうなんですか?でもさっき大人になったって…」
「いやね、身長とかはもちろんおっきくなってるし、顔つきとかもお姉さんになってるけど、根っこの部分は変わらないんだろうなーって」
「…そんなちゃんと話したわけじゃないのに」
「わかるよー?すごく感情に素直で、人のために頑張る子、そして約束を大切にする」
「どうしましょう。すごくにやけてますよね?」
「うん。にやけてます」
二人して向かい合ってにまにまニコニコ、褒めあいをしているあたしたちは、はたから見たらだいぶ変な二人組なんだろう。