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それから、いろんなことを話した。
大学のこととか、お兄さんとの出会いのこと、松下たつのりのこと。
「ひかりちゃんは今彼氏とかいないの?」
「あー、いないんですよねー」
「気になってる人は?」
その言葉に、一番に浮かんだのは彼の顔。
サッカーがうまくて爽やかで、笑顔がステキな中川くん。
いまだに忘れられてない証拠ですよね。
忘れようと、もう終わりにしようとはしてるんだけど、なかなかあたしの心から離れていってくれない彼をどうしてくれようか。
「好きな人がいるんだね。わかりやすいなーひかりちゃんは」
ニヤニヤ意地の悪い笑いをする美雪さんに、思わず顔を赤くしてしまう。
そんなにあたしはわかりやすいのだろうか。
「照れてる。かわいい!」
「か、かわいくないですよ!なににやついてるんですか!」
「だってー、なんか妹ができたみたいで楽しいんだもん。やっぱり友達との恋バナとは違うよね。後輩とも違うし、やっぱ妹っていうのが一番しっくりくるな」
「妹、ですか…」
こんなお姉さんがいたら楽しそうだな。
一緒に買い物にいったり、相談に乗ってもらったり、服のお下がりもらったり…
「よし、妹よ。お姉さんになにか相談したいことはないかい?」
どうやらもう完全にお姉さんになる気満々のようだ。