89×127

「おそらく…というか確実になんですけど、向こうに彼女がいたんですよ。でも、それに気づかないであたし一人がどんどん彼のこと好きになっちゃいまして、もう後にも戻れないし、かといってなかなか忘れられないんで前にも進めない。完全に足元はまって動けない状態です」



……言ってから気づいたが、何をバカ正直に話し始めてしまっているんだあたし。

こんな恥ずかしい内容、まだ会うのも3回目な美雪さんに話すべきじゃないんじゃないか?



「なるほど。向こうはひかりちゃんの気持ちに気づいていないの?」


もうここまで話しちゃったんだし、後悔するのも今更って感じか。

こうなったら開き直って最後まで相談に乗ってもらおう。


「…周りの友だちからするとあたしの気持ちはバレバレだぞって感じなんですけど、たぶん向こうは気付いてなかったと思います。…あーでも、急に避けられたり?したのは中川くんがあたしの気持ちに気づいてて遠ざけようとしたってことなのかな……」


「避けられたの?」


「いや、なんか仲良くなれて嬉しいなーって思い始めた頃に、急に避けられたというか、会わなくなったんです。それを避けられたって言うのか…」


「何か避けられることに思い当たることはない?」


「それが、ないんですよねー。だからもう嫌われたのかと思ってへこみまして、あたしから会おうとすることもやめました。それでしばらくしたら女の子と二人で映画とかファミレスとかを目撃して、あぁもうこれは終わったなぁって感じです」




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