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解答
次の日。
朝から憂鬱な気分になってしまうのは、昨日のやり取りのせいである。
美雪さんとの約束の日まであと2日あるが、もうそれもいいだろう。
「なに、なんでそんなどんより?今日は突撃してこないの?」
「もう…おわりーだねー…」
「君が小さく見える?なに、終わるの?」
「もう終わりにするんす」
「…美雪さんからの指令はこなしたってこと?結果はどうだったのよ?」
「彼女はサッカー部のマネージャーです。同じクラスの色白黒髪、守ってあげたくなるような女の子でしたとさ…」
「あー、あたしが目撃したのもそんな感じだったかも。よく覚えてないけど。……ちゃんと確認したってわけね」
「確認はしてないけど、もうこれは決まりかなって」
「なんだ、確認してないの?じゃあミッションクリアしてないじゃん」
「だってだって、絶対に彼女ってわかってるのに、わざわざ傷を広げるようなことしたくない」
「それはそうかもしれないけど…」
「ひっかりーん、お客さんだよー」
机とおでこがこんにちはしているあたしに、来客の声がかかった。
どうせまたともやんとかだろう。
シカトしよう。
「あらあら早かったな。…ひかり、お客さんだって」
「ともやんなんて今お呼びでないもん」
「…部長じゃなくてすみませんね。真鍋先輩、ちょっといいですか?」
頭上から聞こえてきたのは、少し怒った中川くんの声だった。