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「…というわけ。あんたたち二人して鈍感だし、勘違いにすれ違いで最高に面白かったわ。少女漫画みたいな展開ゴチです」
そう、とてもいい笑顔で言いきって話を締めくくった渚。
………話を簡単に整理してみよう。
要点は二つ。
一つ、渚は中川くんからも相談を受けていて、中川くんがあたしのことが好きだと言うことを知っていた。
つまり、彼女がいないということもずっと知っていた。
一つ、あたしが中川くんに突撃しにいくよというのを中川くんに直前に密告していた。
だからいつ行っても空振りしていたのか。
……今までのあたしのモヤモヤも奮闘も、完全なる渚という愉快犯に掌の上で転がされていただけだったわけですねわかります。
「……渚のアホ!楽しんでいいところと悪いところくらい判断できるでしょ?!」
「判断した結果がこれだよ」
「ダメ!ここは楽しんだらいけないところ!あたしがどんだけ悩んだか知っるじゃん!」
「だって、あたしが教えたらなんも意味ないじゃん?あたしは真実しか伝えてないし、黙ってた部分はあるけどあとはひかりが勘違いにネガティブ妄想爆発させて一人で突っ走っただけだよ?」
「勘違いさせるような情報よこさないでよう!」
「そこはほら、折角ひかりの恋を応援するなら少しくらい面白みがないと」
「いらない!その面白み絶対いらない!」
「実際、おもしろかったから満足してるよ。あんたたちのすれ違い具合といい、ネガティブさといい、どっちもの気持を知っているあたしとしては焦れ焦れに焦らされてくっつきそうでくっつかない二人はもう最高だったね!」
「言ってることもやってることも全体的に最低だよ渚!」
「そんなことは理解してるから心配しないで」
「もっとダメだろそれぇ!」