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廊下に背を向けて座っていたあたし。
振り向くとなんと教室の外からともやんが顔を出したではないか。
どういうことだこれ。
「あたしが呼んじゃった。津川君もいろいろ協力してくれたからさ」
なんと!
ともやんまで渚の手中に収められていたというのか!
「つっても、真鍋のこと慰めてやってとしか言われてないけどな」
「誘惑してやってとも言ったじゃん」
「誘惑?!」
「ぶ、部長!なんてことを…!」
「あーあーお前らうるさい。確かにそれも言われたけど、そんなんしなかったから。というか、真鍋を誘惑するとか無理だろ普通に。なにも面白くない」
「ただ傷つけられたよともやん」
「だってお前普通に恭介のこと好き好きって感じだしさ、それにオレは落ち着いた純真無垢で清楚な子がタイプだって言っただろ。お前みたいな真逆な怪獣を誘惑するなんて俺にはできない」
「重ね重ね傷つけられたぞアホともやん」
また中川くんの前で怪獣って言ったなこの野郎。
「でもアイスおごってあげたんでしょ?」
「あれが誘惑だったというのか…!」
「アイスとか誘惑っていうか?」
「餌付けね」
「餌付けされたというのか…!」
「怪獣を餌付けなんかするかよ。あれはあれだ、真鍋へこんでたから仕方なく」
「仕方なく餌付けされたあたしって…」
「だから餌付けじゃねーって!」
「…やっぱり仲良しじゃないですかぁ…」