89×127
サッカー部に二人そろって赴くと、待っていた松下たつのりに思いっきりニヤニヤされたため、思わず足が出てしまったがこのくらいのことなら許されるだろう。
そのやり取りにまた笑顔になる中川くんを首にぶら下がっている相棒に収めたいが、中川くんは写真撮られるの苦手だからな。そこは我慢できるよあたし。
そして、練習中もうろちょろして写真をとり、帰り道。
あの夕暮れの日、3人で歩いた道のりを今日は2人きりで歩く。
「本当は、ずっとこうやって二人で歩きたかったです」
道中そんな爆弾を落としてくる中川くんに、先ほどの渚の言葉を思い出す。
「やっぱり中川くんは天然たらしだ」
心臓が急稼働したのが原因で急停止したらどうしてくれるんだ。
「な、そんなことないですよ!」
「いーや、だってあたしびっくりするくらいたらしこまれてるもん」
「それは先輩相手だからであって、天然とか、そんなんじゃ…」
「でも、あたしも嬉しいな。中川くんと一緒」
前はともやんが邪魔でしょうがなかったからな。
今日は隣を見れば中川くんがみれる。
しかもそれが笑顔だからよりうれしい。
「…先輩だって天然たらしじゃないですか…」
「ん?なんだって」
中川くんがなにか呟いたが小さい声で聞き取れなかった。
顔が赤いからなにか照れることを言ったのかもしれない。
「なんでもありませんっ!」
顔を見ていたのがバレタと思ったらふいっと顔をそらされてしまいましたよ。