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「知ってるよー当たり前じゃん」
「なんで?」
「え、だって優介の弟君なんでしょ?知らないわけないじゃん」
「優介って……え?!優介の弟?!」
突如出てきたお兄さんの名前にあたしも驚きを隠せない。
松下たつのりがいるのにこんなにあっさりお兄さんの話題になるとは。
まぁ二人の共通の友だちなんだろうけど、なんかこう美雪さんの元カレなわけだし松下たつのりとしては際どい話題なんじゃ…
「たつ知らなかったの?!中川じゃん!同じ名字だよ?」
「そんな、オレらとタメのやつの弟がまさか教え子にいるだなんて普通考えねーだろ!中川って名字も、メジャーじゃないけどそこまで珍しいわけでもないし」
「でも、お兄さんと中川くんって雰囲気とか笑った顔とか似てますよ?」
「そんなこと言われても前提としてあいつに弟がいることすら初耳だし…て、えっ?!」
「え?」
「なに大きい声出してんのさ。恥ずかしいわー」
「いや、だって…真鍋、お前優介のこと知ってんのか?!」
目をまん丸く見開き、驚愕という言葉がぴったり当てはまるような表情をした松下たつのりが、こっちを見る。
「あれ?そのこと言ってなかったでしたっけ?」