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「優介もきっと感謝してるよ。あいつ、ひかりちゃんのこと大好きだったからね」
美雪さんがそう言って優しく笑ってくれると、なんだか泣きそうになる。
「そうだ、ひかりちゃん、良ければたつにあの写真見せてあげてくれないかな」
「いいですよ?」
「写真…?」
「見ればわかるから」
美雪さんが言った写真とは、お兄さんと二人で撮ったあの写真だろう。
手帳の中から取り出して松下たつのりの前に滑らせる。
「え、これ…優、介……?」
「それと、幼き頃のひかりちゃん。あいつが死ぬほんの少し前に撮ったものだよ」
写真を手に取った松下たつのりは言葉をなくしてしまったかのように、ただひたすらその写真を見つめていた。
「……あいつ、ちゃんと笑ってたんだな」
「それもひかりちゃんのおかげだよ。ひかりちゃんに会ってから、すごく毎日楽しそうだった」
「そうか…」
「たつも、会いに来てあげたらよかったのに」
「知ってんだろ?来るなって言われてたの。…どうしてもオレに弱ってるところは見せたくなかったんだと」
「あいつ変なところで強がりだったからね…」
お兄さんを思い出しているのか、しんみりとした空気にどうしていいかわからなくなる。
しかも、この感じだとお兄さんとこの二人はとても親密な仲だったみたいだ。
…聞いてもいいだろうか?