89×127
6枚目

約束


「真鍋、明日に向けて、何か言え。テンション上がること言えよな」


「なんすかその雑な無茶振り。こわ。松下たつのり超こわ」



気が付けば、あっという間に文化祭が明日に迫っていましたとさ。

とはいえ、あたしたちのクラスは大した準備があるわけでもないので、他のクラスに比べたら切羽詰ってることもなく、みんなのほほんと明日からの本番を楽しみに待ち望んでいる。



なんたって、みんなほぼ一日、最低でも半日は自由時間があるのだ。


高校最後の文化祭を、自分たちの好きなように過ごせると言うのは、確かに魅力的な時間なのかもしれない。



「いいじゃん!ひかりん、なんか一言!」


「なんであたしなの!?こういう時は委員長とか実行委員とかじゃないの!」


「だって、うちらの企画って、ひかりんの写真がなければ成り立たないものだし、明日からの2日間だって、ひかりんは仕事しっぱなしみたいなもんでしょ?」


「もう真鍋がリーダーみたいな感じだよな。この企画に関しては」


「この企画に関してだけだけどな」


「頭はいいけどアホだしねー」


「リーダーってキャラじゃないし、写真関係だけだね」


「というか、そう考えるとうちのクラスの指揮とってたのって最初から亀井じゃね?」


「まぁ亀井に逆らえる奴なんてそうそういないしな」


「ひかりんも渚にうまい具合に操られてたしね」


「じゃあ亀井から一言?」


「はぁ?あたしがそんな青春ごっこみたいな恥ずかしいことするわけないでしょうが。ほら、ひかり。さっさと言って終わらせてよ」





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