89×127

文化祭として学校全体が浮足立った二日間。


あたしはカメラを片手に、楽しそうに活動するみんなと一緒にはしゃいで回った。


文化祭特有の何でもありの格好に、普段とは様変わりした教室。

先生たちも柄にもなくはしゃいでいて、見ていてとても愉快だった。


中でも面白かったのはともやんのお化け役だ。

なぜか女装だった。
あれは別の意味でホラーだった。



うちのクラスの客足は上々。

渚の思惑通り、文化祭の熱に圧倒され少し疲れた顔の人を中心に、なかなかの人が来客してくれた。



バタバタと忙しなく走り回る人もおらず、がやがやと賑やかしいわけでもない。


落ち着いた音楽と、町の風景から学校内での日常、一輪の花に人々の笑顔など、様々な種類の写真。

机ごとに置かれたクッキーやチョコレート、紙コップにつがれたソフトドリンク、そしてたくさんの日常が切り取られ、詰め込まれたアルバム。



たったそれだけの空間だけど、お客さんは癒されてくれたらしい。

笑顔で教室を出ていくお客さんたちに、心がほっこりしたのを覚えている。



とはいえ、ずっと教室にいたわけではないので、その後の話はクラスメイトからの報告でしか聞けていない。


それだけずっと校内をふらふら歩き回っていたからな。

まぁ、そんな感じであたしの高校最後の文化祭は何事もなく、あえて言うならば心温まる文化祭として幕を閉じた。





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