89×127

渚とわかれ、中川くんと二人で歩く道のり。



「先輩、どこに向かっているんですか?」

「さぁーどこでしょうねー!」



目的地を告げずに歩くあたしに、文句も言わずについてきてくれる中川くん。


これが渚だったら、目的地を告げなかった時点で「はいさようなら」だっただろう。

まぁ、渚を連れていったところで意味はない場所なんだけどね。



あたしが向かっている先は、あの病院。

お兄さんとあたしが出会った、あの病院なんだ。



「ここは…」



病院が見えてきたところで中川くんも勘付いたらしい。


「勝手に連れてきてごめんね。ここまできて聞くのもなんだけど、平気?」



この病院はあたしがお兄さんと出会った病院であると同時に、お兄さんが亡くなった病院でもある。


「だ、大丈夫です…でもなんで、」


「ちょっとね、一緒に来てほしいところがあるんだ」




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