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ある生徒の手帳には二枚の写真が挟まれている。
一枚は幼い少女と爽やかな雰囲気の青年が。
もう一枚には、少しだけ大人になった少女と一枚目の青年にどことなく似ている少年が。
「先輩?何にやけてるんですか?」
「んー?ふふっ 内緒!」
それぞれの写真にはそれぞれの物語がある。
二枚の写真にはとても幸せそうな笑顔が、輝きが切り取られていた。
「これからも、いっぱい青春しようぞ!」
「ふっ どうしたんですか先輩?もう先輩がいっしょならなんでも青春みたいなもんですよ」
呆れたような、でも楽しそうな笑顔。
これからもその笑顔を、青春を、あたしに隣で切り取らせてほしい。
「…中川くん、約束!」
「約束、ですか?」
「これから先のあたしの写真に、ずっと中川くんがいてほしい」
「…プロポーズみたいですね」
「あ、いや、その、そんな重いものじゃ…」
「先輩の未来にも俺はいますよ?ずっとです。約束です」
そういって綺麗に微笑んだ中川くん。
カシャッ
思わずそれを切り取った。
「…不意打ちはズルいですよ」