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【SIDE 渚】
―――
「で?ひかりさんはコンピューター室に籠もって何をしているのかな?」
「編集。」
座り心地の良いコンピューター室特有の椅子をきぃきぃさせて、画面に向かうのは親友の真鍋ひかり。
日の光に当たると茶色く見える、少しだけ色素の薄い髪をおだんごにして、首にいつもブラがっているカメラは今はパソコンの横に置いてある。
化粧っ気のない肌はぷにぷにしてて、頬をひっぱるとやわらかく伸びるから、ついいつも引っ張っていまうが、これは愛情の裏返しだ。
平均身長に届かないくらいの身長や、そのやかましい言動から、どうも妹のように扱ってしまう。本人が気にしてないから問題はないが。
「この二枚だったらさ、どっちの方が良いと思う?」
画面には同じようなアングルから撮られた担任・松下の写真が2枚。
こいつはこの間ひかりを泣かせたクズだ。
「ひかり、スライド作らないんじゃなかったの?」
確か怒り心頭したひかりはそんなことを言ってた気がするんだけど…。まぁ、お人好しのひかりのことだ。
「…ちがうよ?別に、あれだし、今まで撮った分がもったいないから、まとめてるだけだもん。」
何が違うの。素直じゃないな。そんなカラフルに、動きも曲も文字もつけて、ただまとめただけとは言えないでしょうが。
「にしてずいぶんと凝ったもんつくるのねー?」
「…適当なもの人前に出すわけにはいかないから。」
なんだかんだ、松下の笑顔のためにしっかりつくってあげるんだもんね?
いくら相手が生き甲斐を邪魔呼ばわりしたやつだってひかりにはそれができちゃうんだ。
「フフッ あたしひかり大好き。」
「あたしの方が好きだし。」
全く、可愛い子だよ。
【/SIDE 渚】