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「あの、」
うわあいつの間にここまで近づいてたんだ!こっそり来るなよビックリするだろ!
「ありがとうございました。」
真上から聞こえたお礼の言葉に顔を上げる。
「いや、はい。」
「大丈夫ですか?具合悪いんですか?」
なぜそうなる。ひかりさん元気いっぱいですよ。……ただ今はちょっと羞恥にもだえているがね。
「なんともないです。ご心配なく。」
「そうですか。ならいいです。」
暮れゆく夕日を背に、しっかり目を合わせてそういう彼はなんだか綺麗で、思わず相棒を構えたくなった。
また拒絶されそうだったからなんとかこらえたけど。
そのあと、結局何故か立ち去らない彼を待つのもあれなので、じゃあといって先に動いたのはあたし。
まさか大事な大事な大事なあれを落としていたなんて。全く、気付かなかったんだなあ。