89×127
「ない!」
次の日の朝いちの教室で、あたしは叫んでいた。
「ないないないない!!」
渚の迷惑そうな視線も気にならないほどに焦っていた(いつもそんなに気にしてない。)
「あたしの宝物が!思い出が!お守りが!王子様が!生徒手帳が!なくなったぁー!!」
正確に言うと生徒手帳とその間に挟んであるお兄さんとの2ショット写真が紛失したのです!!
「あんたその写真にどんだけ重荷背負わせてんの。」
そんで生徒手帳はついでなのね。と呆れた表情の渚さんもお美しいのですが、今はそれどころじゃないのよお姉さん!!
「渚さん!一大事だよ!!事件だよ!あたしもう生きていけないよー!!」
うわーん と嘆くあたしに、
「ひかりうるさい。」
今日も渚さんは手厳しかった。