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「え、でも、歳、離れて…?」
「12歳離れてるんです。うち、両親一回離婚してて、俺は再婚相手との子どもなんで。」
「あ、なんかごめん…」
「いえ、そこは平気なんですけど、…なんで先輩が兄の写真を持ってるのかだけ、教えてもらえませんか?」
なにやら切実な訴えだ。
別に隠すこともないし、お兄さんが中川くんのお兄さんだなんて、なおさら話してあげた方がよさそうだ。
「あたしがお兄さんと会ったのは、小3年の頃。あたしその頃体弱くてさ、お兄さんには入院してた病院の屋上で会ったんだ。
これはその病院の屋上で撮った写真。」
写真の中には笑顔のお兄さんとあたしがぴったりくっついてピースをしている。
あたしがカメラに全てを捧げるきっかけとなったお兄さんとの出会い。
あたしにとって、かけがえのないもの。
何にも変えられない、唯一のもの。
写真の中のお兄さんの笑顔がとっても綺麗で……少し悲しくなった。