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授業が終わって渚のもとへ向かうと、すでに招待状は開かれていた。
綺麗な白い花の絵で飾られた小奇麗な封筒だ。
覗き込むと渚が顔をあげた。
「勝ち残っちゃった。」
「さすが渚。ここぞという時は強いですね。いーなー結婚式。」
「…代わりに行く?」
「それはダメ。渚が勝ったんだから楽しんでおいでよ。」
ここで渚が代わってあげると言ったって、それはフェアじゃない。
あたしは負けた訳だし、みんなだって行きたいんだから。
「そー言うとこばっか大人なんだから。」
「お姉さんと呼んでくれて構わないわよ。」
「呼ばないけどね。…ひかりの分も楽しんでくるよ。」
「花嫁さんにもよろしくね!あ、花嫁さん何て名前?」
「えーっと、」
「二瓶美雪。これからは松下だけどな。…真鍋、結局負けたんかお前。」
「あら先生。そんなにひかりに来てほしかったんですか?」
「松下たつのりあたしのことダイスキだもんな。」
「なにを言っているんだお前は。オレが好きなのは嫁さんだけだ。」
「うわ、さらっとのろけやがった。」
「先生、そんなんじゃお嫁さんに逃げられますよ。離婚理由がウザいからだなんてシャレにならないですね。」