【続】君の声がききたい
少し言いにくそうだ。


ーー『私・・就職できるのかな…』




沙和はうつむきながら、そう手話で言った。




「沙和…」

ーー『私…今までバイトすらしたことない。耳が聞こえない私を…雇ってくれるとこなんてないよ…』

「・・・・」


不安そうな表情の沙和。

俺は沙和にかける言葉が、すぐには見つからなかった。


だけど気がついたら、沙和の手を握っていた…




ーー『大丈夫だよ。就活までまだ少しあるんだから…ゆっくり探せばいいよ。』


これが精一杯だった。


ごめん、沙和…

思いもしなかったことで、俺も頭真っ白。


もう少し、時間くれ。




沙和は少し笑ったあと、俺が握った手を握り返し指を絡ませた。

俺の気持ちをわかってくれてるみたいだ…
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