【続】君の声がききたい
俺はなにも言わずに、また沙和の頭を撫でた。

すると沙和は、洗い物をする手を止めて、手を拭いた。




ーー『…みんな・・私からどんどん遠くなってく気がするの』

「!」


うつむき加減で言う沙和。



ーー『みんな…どんどん自分の進みたい進路に進んでる。なのに私は…なにも決まってない』

「沙和…」

ーー『今日…虹が言ってたでしょ?自分の描いた絵が、ギャラリーに飾られるって。…正直羨ましかった』



沙和は、キッチンのテーブルをフキンで拭きながら言った。






ーー『最近思うの。私は…世間からしたら障害者でしょ?あと、隼人と虹も。でも…隼人と虹は、障害者なのに、もう自分の進路をちゃんと見つけてるの。見つけてないのは私だけ』


沙和の顔は曇る。
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