【続】君の声がききたい
沙和は力ない顔をして、ビールをちまちまと飲む。



ーー『お前…(汗)今”みんな“って言ったか?』

ーー『え?』


俺は沙和に、顔をぐんと近づける。




「俺もまだ…進路決まっねねえぞ」

ーー『え?今なんて言った?』

「…もう一回は言わない」

ーー『嫌だ!言ってよ!』


俺の着ているシャツを引っ張る沙和。




「だから…」

ーー『…?』

ーー『俺もまだ、決まってないって言ったの』

ーー『!』


いつもよりキレのいい手つきで、手話をする俺。
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